商標と商標法について
商標とは、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用する識別標識のことで、商標法という法律により守られています。商品・サービスの名称が保護の対象となり、商標の対象要素は「文字」「記号」「図形」「立体的形状」「動き」「ホログラム」「色彩」「音」「位置」などがあり、これらを組み合わしたものです。商標権を取得するためには、特許庁から商標登録を受ける必要があり、権利者は、指定の商品・サービスについて、登録商標を独占的に使用できるようになります。
ロゴの商標登録を検討している方へ
結論から言うとロゴの商標登録は、弁理士さんに相談、依頼することをお勧めします。弁理士は、国家資格を有しており、出願人を代理して特許庁へ各種手続きを代行することが認められている専門家です。なぜ弁理士に相談を検討した方がいいのかというと、ロゴの商標登録の流れは、調査 → 出願 → 審査 → 登録となりますが、調査ではロゴの文字要素、図形要素など膨大なデータから適切な図形等分類を見定め、デザインコンセプトや使われているモチーフなども比較していく必要があります。それ以前に、どの分野に登録するかという専門知識と経験値が必要になってきます。
仮に自力で登録できたとしても、自身の商売とは全く関係のない分野の用途に使われる商標になってしまったという結末もありえます。また出願書類の作成も専門知識が必要になる場面が多く、労力と時間がかかってしまいます。その労力と時間は、本業に注力した方がよいでのは?ということも検討された上で判断したほうがよいかと思います。
弁理士に相談する前に確認しておくこと。
弁理士に相談する時は、ロゴのデザインのバリエーション(縦組み、横組み、タグラインの有無など)全て提示します。また、ロゴタイプ、シンボルマーク、ロゴマークを明確にしておく必要があります。要するに商標の対象要素をはっきりさせることです。また、ロゴのコンセプト、デザインストーリーなどの情報もしっかり伝えることです。それによりそのロゴがどういった考えのもと、何をモチーフにして作られてものなのか判断しやすくなります。
デザイナーに委託する場合は、ロゴの著作権を譲渡してもらうこと
ロゴの著作権(※1)は、商標権(※2)とは違います。ロゴの商標登録をすれば、ロゴの著作権も取得できるということではありません。自身で制作したものではない著作物の著作権は、著作者から譲渡してもらう必要があります。委託したデザイナーから著作権を譲渡してもらわずに商標登録した場合、デザイナーの著作権を侵害することになり、登録商標が使用できなくなるケースがあります。なので、著作権の譲渡の件は最初にデザイナーと合意形成しておく必要があります。
(※1)著作権とは、著作物を保護する為の権利であり、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と著作権法で定義されています。著作権は登録が不要です。著作権は創作と同時に発生します。
(※2)商標権とは、商品又はサービスについて使用する商標に対して与えられる独占排他権。商標として保護されるのは、文字、図形、記号の他、立体的形状や音等も含まれます。権利の存続期間は10年ですが、存続期間は申請により更新することができます。